一般に真空と聞いて、まず思いつくのは、食料品を腐らせずに長期保存するための「真空パック」や、音響機器を始めとした電機製品で活躍した「真空管」を思い起こす人が多いようです。
しかし意外にも、真空パックや真空管だけではなく、私たちの生活は真空を利用することで作られている製品に囲まれているのです。たとえば、眼鏡やインスタントコーヒー、プラズマテレビに至るまで、これらの製品が完成する過程で、実は真空が大活躍してます。
これらの商品は、真空にすることで起きる特殊な現象を利用し加工されています。ちなみに、真空パックは、真空状態を作ることで「酸化を防止できる」という現象を利用した商品です。このほかにも、真空を利用することで調理や乾燥、保温、脱臭など、その応用範囲はとどまることを知りません。
知れば知るほど、あ、こんな所にも真空が!と驚いてしまいます。
では、真空状態とは、どのような状態なのでしょうか?
真空というと宇宙空間のように、「真に何もない、空っぽな状態」をイメージしてしまいますが、実際には、全く何もない空間を作り出すことはできません。
ちなみに広辞苑では、「物質のない空間。人工的には一気圧の約1/1016以上のものは得られないが、実際には大気よりも圧力の低い空間も真空と呼ぶ」
また、日本工業規格JISによれば、「真空とは通常の大気圧より低い圧力の気体で満たされた空間の状態で、圧力そのものをいうものではない。」
とあります。真空技術の世界では、真空ポンプを利用し、空間から気体分子を吸い出すことで、人工的に作り出した低圧状態のことを「真空」ということにしているのです。
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